その日はピラティスでの予約が入っていた。
なんだけど、予約の時間になる数時間前に「いきなりですが、今日ピラティスではなくてインテグレイティッドヒーリング(IH)を受けることはできますか?」
とクライアントさんから連絡がきた。
「何かあったのかな?」と思い、スケジュールをすぐに確認した。その日は少し前に来てもらえるとできるスケジュールだったので、IHのセッションをすることにした。
「なにについてセッションしたいですか?」と聞くと、
「最近尋常じゃないくらい物忘れが激しい。」
というクライアントさん。
何だか切羽詰まった様子に見えた。
IHはその人の筋肉の反応をみてその人の潜在意識にある情報をキャッチして進めていく。
だから私の意見や考え方は要らんのだ。
なんだけど
なんだけど
何があったんだ?と思いながらも、今、目の前にいるクライアントさんのことを以前から知っている私は、『尋常じゃないくらい物忘れが激しい??そうかぁぁ??』という個人的な意見がよぎ出てきちゃう。
だって、そんな節ないねんもん。
とわたしは思うけど、クライアントさんの筋肉はイエスで反応する。
今のクライアントさんにとってベストなセッションのテーマはこれなんだな。
セッションの中で、職場でのコミュニケーションについて話してくれた。
同じ間違いを繰り返したり、忘れてしまうことに、罵声のような言葉で叱られることが増えて、最近はバカにされたり厄介者扱いされたりしていることを伝えてくれた。
「いたたまれないんです。。」
そりゃそうだ。
聞いてるだけでもこちらも辛くなるくらい、その環境が目に浮かんできて、
私の知っている元気を伝染していくようなクライアントさんの能力を発揮できない環境下に、悔しくてたまらなくなってくる。
そしてそんな状況なら焦るし、不安も感じるだろうし、いつもなら覚えられるようなこともなかなか覚えにくいだろう。。
くそぅ!!
セッションを進めて、どんな未来を望むのか聞いていくと、
“落ち着いて覚えられて仕事がスムーズにできるようになる。”というようなことではなかった。
環境を変えることも筋肉は反応はするけれど、クライアントさんが本当に望む現実は他にあるみたい。
なんなんだろう。。
今の仕事をなんでしているのか
自分は何をしたいのか
いろいろ話してもらううちに、
「わたし自信がないんです。自信がないし今更わたしなんてって思うんです。それに今後のことを考えると怖くて。」と内側の想いを教えてくれた。
湧きでる興味や望む未来は、怖さからどんどん保守的になっていって、自分が窮屈になる方向に進んでいたものだった。
そういえば「今後の老いていく人生のことを考えたらもっとお金溜めとかないとって思うしねぇ。」と言っていたのを何度か聞いたことがある。
「どうしたらその怖さがなくなるんでしょうね?」
と聞くと
自分に安心することだった。
それはこれからの人生、老後も安心して生きていけると感じるたくさんのお金をもつことではなかった。
「わたしの安心することは、わたしがいる意味を感じられること。
誰かを幸せにする生き方をしたい。
自分の価値を自分で感じたい。」
と言ってくれた。
わたしはすごく心が揺さぶられた。
ピラティスにも来てくれているクライアントさんとは今までカラダの話以外にも人生やこれからのこと、いろんな話をしてきていたけど、
「そうですよねぇ。。わかるんですよ。わかるんですけど、でも現実はねぇ、、やっぱり難しいですよねぇ。」
って言っていたのを知っていたから。
だから、セッション中も何度か“怖い”と言っていたその先を、しっかりと向き合い、真正面から受け止めたクライアントさんは本当に凄いなぁと思った。
わたしや他の人がその人の素晴らしさを伝えることはできても、本人が自ら実感できないと、
その人の生きる世界はずっと「わたしなんて。。」のフィルターの中で人生が進むことになるから。
IHのセッションが終わった後、「来る前はもう認知症に向かってるかもってそんな事も覚悟していて。実は最期のことまで考えていたけれど、なんか嘘みたいに怖くなくなりました。」
と言っていた。
IHって本当によく出来てるなぁとセッションするたびに思う。
尋常じゃなく覚えられない。
ことに対して
なんで覚えられないんだろう。
どうしたら覚えられるようになるのか?
の、その奥にある本当に望みにフォーカスできる。
根底にある原因からアプローチしていける。
ピラティスを教えてくれているいずみさんがいっていた
「その人の最高を引き出すことにフォーカスすると、その人の世界はどんな風に変わるんだろう。」って。
私たち1人でもそうあったらきっと
わたしなんて。。
から
わたしってこんなにやれるんだ
って人が伝染して拡がっていく。その世界も、もうそう遠くないと思うんですよねぇ。